こんにちは。
猛暑でビールが美味しくて…おいしくて…
すっかりブログを放置していましたが、気を引き締めて再開したいと思います。
ところで
美容師と理容師の違いってご存知ですか?
決定的な違いは ‘’顔そり‘’ ができるか・できないかの差らしいです。
「ズコーっ!」
おもわずコケそうになりますよね。理容師が顔そりできて美容師はできないそうです。
正直、二つに分けないで一つの資格でいいのではないかとも思えてしまいますが、そうなった背景とかが色々あったんだろうなと察します。
在宅訪問分野でもこれに似たことがあります。
訪問リハビリテーション と 訪問リハビリマッサージ です。
運動などのリハビリメインかマッサージメインかの違いと思っている方が多いとおもいます。
訪問リハと訪問マッサージなら分かりやすいのですが、訪問リハビリマッサージという名称でリハビリを前面に押し出している訪問マッサージ業者もたくさんあり両者が類似しているんじゃないの?と疑問に思いますよね。
森本
両者の大きな違いとして
訪問リハビリ
👉介護保険(一部医療保険)適用、理学療法士や作業療法士などが訪問
👉リハビリの知識、方法、評価や報告などが優れている
👉施術時間は40分が一般的
👉開業権がなく個人でやっている人はいない
訪問マッサージ(訪問リハビリマッサージ)
👉医療保険適用、按摩マッサージ指圧師が訪問
👉評価や施術内容の根拠などを文章化するのが不得意な施術者が多い
👉施術時間は20~30分、利用者負担額は訪問リハビリより一般的に安価
👉訪問専門業者や個人治療院がある
介護保険の点数枠の兼ね合いで、訪問リハビリをうけられない方の補完として訪問マッサージを利用されるケースもある。
訪問リハと訪問マッサージの併用もできる。
一番重要なことはその結果・効果
まず前提として
病気や怪我をしてからの時間が短い急性期ほどリハビリなど理学療法の効果が表れやすく回復する可能性が高いです。
訪問サービスは慢性期の患者(利用者)さんが多いので、急性期ほど目に見えて回復するものではありません。
在宅サービスを依頼する方の目的は、自宅や日々の生活の場でその人にとってより良く生活できるようになることです。
その目的に対して、ぶっちゃけたことを言うと
訪問リハビリ
👉利用者本人がリハビリや機能訓練をやる気がない場合は効果は出にくく、改善があまり期待できない。
訪問マッサージ
👉利用者本人にやる気がなく、たとえ完全に受け身でも、ある程度の効果が得られる
やる気のない人でもご家族が介護負担の軽減目的で希望するケースも多くあります。
マッサージはやはり気持ち良いと満足度も高く、その心地よさから精神を安定させ症状を改善させることができます。
最初は機能訓練をやる気のなかった方でも、訪問を重ねるうちに施術者が信頼されて、訓練をするやる気がでてくることもあります。
訪問マッサージはお勧めできる本当に良いサービスです。(マッサージ業者だからお勧めしているわけではありません)
しかしながら、リハビリはリハビリのプロにしてもらうのが理想的だと私は思っています。せっかくリハビリの専門職資格があるのですから...
餅は餅屋
これは真実です。
選択の決め手は?
可能であれば、訪問リハと訪問マッサージの併用が一番いいと思います。
リハの運動での疲労をマッサージでとるというのがよろしいかと。
ただ色々なケースがありますので、訪問リハか訪問マッサージのどちらかがサービスには入っていれば、それでいいのではないでしょうか。
結局のところ 訪問リハでも訪問マッサージでも『誰が訪問するのか』が決め手になります。
経験豊富で誠実な施術者を選んでください。結果に差が出ます。
補足
以下に訪問リハビリと訪問マッサージ業界のこれまでの流れを詳しくまとめてみましたので、もし興味があれば読んでみてください。
そもそも、リハビリとマッサージはそれぞれの持ち場では、することは全然違います。
- リハビリなら理学療法士や作業療法士が病院などで病気や怪我をしてから時間の短い急性期の患者さんに対してリハビリをして回復させる。
- マッサージならマッサージ師が治療院などで痛みや疲れを軽減させて動きやすくる。
両者の住み分けはしっかりとできている。しかしこれが訪問サービスになると
■訪問リハビリなら
介護認定を受けた慢性期の患者さんが多く、在宅なので器具や平行棒などの設備がなくベッド上での運動療法が中心となる。
日常生活の基本的な動作訓練などをして筋力や関節可動域の維持・向上、痛みの軽減、起きる・立ち上がる・歩くなどの動作訓練を行う。利用者が希望するのであればマッサージをすることもある。
※医師の指示下においては理学療法士さんがマッサージをしても法律上は何も問題はない
■訪問マッサージなら
歩行困難な慢性期の患者さんに対して、マッサージを行い必要であればリハビリもかねた機能訓練、筋力や関節可動域の維持・向上、痛み軽減、日常生活の基本的な動作訓練を適宜行う。
※医師の同意下においてはマッサージ師が機能訓練リハビリをしても何も問題はない。
按摩マッサージ指圧師の養成校ではリハビリテーションの科目がカリキュラムにあり、基本的なことは学んでいる。
訪問サービスになると歩行困難という条件がありますので
・患者(利用者)さんが脳卒中などの脳血管障害後遺症や難病などに限られてくる
・在宅でのリハビリは出来ることが限られてくる
ことが多くなってしまいます。
そうなると文字にしたらやることはほとんど一緒になってしまうのです…。
理学療法士は何で理学療法師ではないのか?
リハビリの専門職には理学療法士や作業療法士などがあります。
医療系の職種は医師、薬剤師、看護師などがあり、マッサージ業も按摩マッサージ指圧師とう資格名です。
ここで歯科を例をあげてみます。歯医者さんは歯科医師、でも歯科衛生士さんは歯科衛生師ではなく歯科衛生士です。
なぜか?
多分野で師業と士業は存在しその理由は諸説ありますが、医療分野に限ってはこの区別に関して分かっていることがあります。
それは『師』も『士』も技術的な職業であること
そして『師』は第二次大戦前にすでに職業として成立していたこと、『士』は大戦以降に西洋の制度を導入するようになってから使われるようになったということです。
歴史背景は?
戦後日本はWHO(世界保健機構)より要請を受けます。PT(理学療法士)などのリハビリ専門職を早急に養成すべきと。
それから認可されて養成校ができて、1966年(昭和41年)に第一回PT国家試験が行われ、身体の動きを専門とする医療系専門職が誕生します。PTは約50年前にできた比較的新しい職種・資格です。
ずっと以前に資格を取られたベテランのマッサージ師は、昔は病院で働いていた方が数多くいます。昔はまだまだ理学療法士(PT)さんの数が少なく、PTの代わりにマッサージ師が病院内でリハビリや助手をしていたと聞きます。
国は急激な高齢化社会に対応すべく急いでPTの数を増やそうとしました。
やがてPTの数は徐々に増えていき、それまでいた病院勤務のマッサージ師は減少し続けることとなります。
そして2006年(平成18年)に医療報酬改定というリハビリ現場にとっては大きな出来事が起こります。
脳卒中後遺症の機能回復を図るために病院に通う人たちが、発症から180日を上限に医療機関でリハビリを受けることができなくなったのです。患者さんがリハビリを続けたくてもできなくなり、病院でのリハビリ訓練をあきらめるか、自己負担(自費)で続けるかという状況になりました。
自宅でリハビリを受けたくても、介護保険を使っての訪問リハの整備がまだ十分ではなかった為、リハビリをしてくれる人がいないという状況になりました。
そのリハビリ難民の受け皿になったのが、それまでにあった訪問マッサージです。
医療保険適用でマッサージ師も不足していないなどの利便性で一気に普及していくこととなります。
このような背景があり、それ故にリハビリのニーズに適応するべく訪問マッサージはマッサージだけでなく、機能訓練を含めたリハビリも行うようにになっていったのです。
PT(理学療法士)が少なかった時代や医療報酬改定後の在宅リハビリ整備が不十分な時期に、マッサージ師がPTの代わりをしていたという訳です。
ニーズがあったので訪問マッサージは儲かるとタケノコのように次々に業者がでてきました。訪問専門の会社や他業種からの参入、フランチャイズ店の登場です。
現状はどうなの?
《参考》
理学療法士(PT)は養成校の増加に伴い急激に増え続けています。最近では毎年1万人以上のPT国家試験合格者がでており累計で15万人超のPTさんがいます。按摩マッサージ指圧師は去年ですと1300人ほど誕生しています。
視覚障害者の職域として守られている関係もあり国は新規の養成学校の認可を認めず、一定の枠の範囲でしか増加しません。
現在はPTの人数は激増し、病院の訪問リハビリやデイリハ、訪問看護ステーションなどの整備が整ってきました。
今までの流れからすれば、PTが増え訪問リハビリを利用する環境が十分に整うに従って、それまでの需要のあった訪問マッサージは徐々に衰退していきました…。終わり…。
となるはずのような気もしますが、現状は訪問マッサージ業者は減るどころか増え続けております。
保険を使ったリハビリやマッサージは、今後の医療報酬や介護報酬の改定などにより大幅に変わる可能性があるということは間違いありません。
医療や介護業界は将来どうなっていくのでしょうかね。お疲れさまでした!
最後まで読んでくださりありがとうございました。